日々のカラダの整え方 ブログ

2024-08-09日々のカラダの整え方 ブログ

環境に優しいはずの紙コップ、カラダや環境に悪い!?

世界中で毎年数千億個ものプラスチック製の使い捨てコップが使われていますが、その大半はリサイクルされていないと言われています。

 

コンビニや大手コーヒーチェーンのお持ち帰りのコーヒーカップを紙コップに切り替えることはとても良いことに思えますが、実際はそうでもないことをご存知ですか?

 

紙コップが自然環境に捨てられた場合、従来のプラスチック製のカップと同じくらい有害であることを、人間にも悪影響を及ぼす可能性があることがわかってきました。

 

今回の記事では、紙コップの危険性についてご紹介します。

 

紙コップの作り方

紙は水に弱いはずなのに、紙コップは長時間、飲み物を入れても大丈夫ですよね。不思議に思いませんか?

 

 

耐熱・防水コーティング剤が使われているから、熱々の水分に耐えられるのです。

 

 

コーティング剤の成分は、ビスフェノールA(BPA)というプラスチックです。

 

このビスフェノールAというコーティング剤は、はたして人間が摂取しても大丈夫なものなのでしょうか?

 

各国で紙コップに関していくつかの実験結果があります。

 

スウェーデンのヨーテボリ大学の実験:成長の阻害や発育の遅れの可能性

このコーティングから化学物質が漏れ出していると、スウェーデンのヨーテボリ大学のベタニー・カーニー・アルムロス准教授らは指摘しています。

 

ベタニー・カーニー・アルムロス准教授らは、 プラスチック製コップと紙コップでそれぞれを4週間浸した水と泥を水槽に用意して、ユスリカ(水生の害虫)の幼虫を放つという実験を行いました。

 

 

「実験した全素材において、汚染された泥の中の幼虫には著しい成長阻害が観測された」

 

「汚染された泥と水の両方においても、発育の遅れが全素材で観測された」

という結果でした。

 

参考サイト⇒Single-use take-away cups of paper are as toxic to aquatic midge larvae as plastic cups -Science Direct

 

 

さらに、ベタニー・カーニー・アルムロス准教授らは以下のように述べています。

 

 

「分解性プラスチックは野外や水中ではあまり効率よく分解されない」

 

「ほかのプラスチックとまったく同様に、自然界に残留してマイクロプラスチックとなって人間や動物の体内に入るリスクもあるだろう。分解性プラスチックに含まれる化学物資は少なくとも通常のプラスチック並みに多い」

参考サイト⇒EurekAlert!のニュースリリース

 

インド工科大学カラグプル校によるマイクロプラスチックがしみだしている数の検証実験

紙コップのプラスチックのコーティングからマイクロプラスチックがドリンクに混入することを指摘した論文は他にもあります。

 

2019年、インド工科大学カラグプル校で環境工学を研究しているSudha Goel准教授らの研究班がマイクロプラスチックがどれくらいしみでるかを検証する実験を行いました。

 

紙コップに85~90度の熱湯を100ミリリットル注ぎ、15分後に蛍光顕微鏡で観察したところ、マイクロプラスチックが湯の中に放出されていることが確認されました。

 

恐ろしいことに、ミクロンサイズのマイクロプラスチック粒子が100mlのカップに25,000個も含まれていることがわかったそうです。

 

参考サイト⇒ZME SCIENCE

 

マイクロプラスチックの健康への影響

 

紙コップからマイクロプラスチックが放出されることがわかりました。

 

このマイクロプラスチックが人体にどのような影響があるのでしょうか?

 

実際、イギリスでは施術中の患者の肺の奥深くから、オランダでは匿名の献血者の血液からマイクロプラスチックが検出されたと言われていますが、現時点では人体にどのような影響がでるかはわかっていない状況です。

 

しかし、実験によりマウスの健康への影響はわかっています。

アメリカのロードアイランド大学の研究班が発表した論文を紹介します。

 

ロードアイランド大学の研究班は、マイクロプラスチックを含む水をマウスに与え、体内にどのように蓄積され、行動への影響などの実験をしました。

 

実験の結果、マウス体内で消化器系以外にも複数の臓器の組織において、マイクロプラスチックが蓄積されていることが確認されました。

 

研究チームの1人であるロードアイランド大学神経科学のJamie Ross教授は、以下のようにコメントしています。

 

「動物の糞便にはマイクロプラスチックが含まれるだろうと予想しており、そこは驚きはしませんでした。 しかし、肝臓、脾臓、腎臓の中の細胞にも、マイクロプラスチックが発見されたのには驚きました。消化器官の中心部ではなく、その内部の組織にも入り込んでいたのです」

 

水と共に飲み込んだマイクロプラスチックが血液の流れに入り込んだ結果、消化器系以外の肝臓、脾臓、腎臓といった解毒を司る臓器に入り込んでいるというのは怖いですね。

 

また、別の実験があります。

マイクロプラスチックを高濃度で含んだ水、低濃度の水、マイクロプラスチックなしの水の3つ水をそれぞれ異なるマウスグループに3週間摂取するという実験を行った結果、

 

高濃度のマイクロプラスチックを摂取したマウスは、低濃度もしくはマイクロプラスチックなしの水を摂取したマウスと比べ、箱の中を長く移動するなどといった不安定な行動が多く見られたとのことです。

 

マイクロプラスチックの摂取期間が更に長かったら、また違った反応が見られたと思います。

 

また、行動観察だけでなく物理的に脳を調べたところ、マイクロプラスチックを摂取したマウスの脳には炎症が見られただけでなく、脳の働きをサポートするグリア線維性酸性蛋白質(GFAP)も低下していたとのことです。

 

GFAP低下は、マウスのアルツハイマーを含む神経変性疾患の初期段階と関連があると考えられているそうです。

 

この結果に対しRoss教授は、

 

「1度体内に入り込んだマイクロプラスチックはどうなるのか、そのライフサイクルの理解をより深めたいきたい。また、プラスチックが脳の恒常性にどう影響するのかも理解していきたい。」

とのことです。

 

参考サイト⇒International Journal of Molecular Science

 

まとめ

紙コップにはビスフェノールAというプラスチックのコーティング剤が塗布されているため、いくつかの実験によるとユスリカやマウスにいくつかの悪影響が見られました。

 

人間にも血液にのって各臓器にマイクロプラスチックが蓄積されていますが、現在のところ、人体への影響がどのようなモノが生じるかはわかっていない状況です。

 

今後、重金属の蓄積と同様に、マイクロプラスチックがさらに蓄積されることで、人間の健康への悪影響を及ぼす可能性が考えられます。

 

わたしたちにできることは、プラスチックだけでなく紙コップを使用したらゴミ箱に捨てること、なるべく紙コップを使わないように自分で飲み物を水筒に入れて携帯することだと思います。