2023-06-18日々のカラダの整え方 ブログ
日本の知られざるスーパーフード 梅干しの効果について
「梅はその日の難のがれ」ということわざはご存じでしょうか?
梅干しは殺菌などの作用があることから、お弁当のご飯に梅干しを入れてもらったことがある方もいるかと思います。
近年さまざまな研究によって健康によい成分を含まれていることがわかってきました。
なぜ、梅干しがカラダに良いのかを、理由を説明したいと思います。
梅干しの歴史
梅の木の原産は中国で、約2000年前に記された「神農本草経」には梅が記されています。
青梅を燻煙して乾燥したものが烏梅(うばい)という生薬として利用されており、約1500年前の飛鳥時代に烏梅が中国から日本に伝わったと言われています。
平安時代に記された日本最古の医学書である「医心方」に梅干しが登場し、「三毒を断つ」という薬用としての効能が記述されています。
三毒とは、血毒(熱中症)、水毒(水あたり)、食毒(食あたり・食中毒)のことです。薬用としての効能が記述されています。
戦国時代になってもまだ、梅干しは食品というより薬として利用されていました。
戦では、兵士の腹痛予防や疲労回復のために梅干しが重宝されたそうです。
江戸時代になって、梅干しは食品として庶民に広まっていきましたが、当時の梅干しは塩分の高い塩辛いものであり、赤じそを使った赤い梅干しができたのも江戸時代といわれています。
明治40年以降、日清・日露戦争の軍用食として梅干しが利用されたことで需要が増大し、生産量が急増しましたが、第二次世界大戦末期には食糧難からサツマイモなどの栽培が優先され、梅の木が伐採されていきました。戦後の復興とともに梅の栽培も再び増加しました。
最近、梅干しの効能について科学的な裏付けが得られてきており、梅干しの価値が見直されるようになってきました。
梅干しの健康効果
カラダを「アルカリ化」して酸性に傾いた体内環境を補正する
梅干しに含まれるクエン酸が、酸性に傾いたドロドロの血液を弱アルカリ性に中和してくれると言われています。
わたしたちの身体は約60%が水分でできていると言われています。
健康な状態では、体液(血液、リンパ液、細胞液)のpH値は、約7.4の弱アルカリ性になるように体内で調整されています。
しかし、慢性的な炎症や長期間のストレスがかかったりすると、わたしたちのカラダは酸性に傾いていきます。
体内が酸性に傾くと、「アシドーシス」といった状態になると言われ、ダルさ、疲労感、免疫力の低下などのさまざまな不調を招くと言われています。
そこで、カラダを酸性化する原因の慢性炎症やストレスを取り除く必要がありますが、これらは日々の習慣に基づくものなのですぐに対応するのは難しいところがあります。
酸性に傾いた体液を中和するには、野菜、果物、海藻類、キノコ類、大豆製品といったアルカリ性の食べ物を摂取するのが良く、特に梅干しはアルカリ性が高いと言われています。
梅干しはとても酸っぱいので、酸性と思われる方もいますが、梅干しの酸っぱさはクエン酸です。口から摂取した時に、体内でアルカリ性に変化します。
また、カラダを酸性に傾ける食品として、肉、精製された白米、パン、アルコールがあります。
これらの食品は、一般的に良く食べている食材であり、わたしたちが普段食べている食材の多くは酸性食品です。
カラダをアルカリ性にして、自然治癒力を高めるには、意識的にアルカリ性の食品を摂る必要があります。
疲労回復
疲労が蓄積されると、免疫力の低下につながるため、疲労回復はとても重要です。
梅干しには、クエン酸の他に、筋肉にたまった乳酸を分解する役割を担うアミノ酸であるリンゴ酸が豊富に含まれています。
筋肉痛などの疲労は体内に乳酸が蓄積されることによって生じます。
梅干しを食べることで乳酸の分解を促されるので、疲れた体を回復させるのに非常に良い方法と言われています。
梅にしかない激レア物質「ムメフラール」が血液をサラサラにする
近年の研究によって、加熱した梅干しには血流を促進する効果があることが明らかにされています。
梅干しを加熱することで「ムメフラール」という血液の流動性を高める成分が生じると言われています。
そのため、加熱した梅干しには高血圧などの生活習慣病が原因で引き起こされる動脈硬化の予防や、女性に多い冷え性の改善に対して高い健康効果があると分かります。
ムメフラールは生の梅干しにはほとんど含まれないため、ムメフラールの効果を期待したい方は、梅を加熱調理するか、加熱加工した梅肉エキスがお勧めです。
梅干しの酸味が食欲増進
梅干しの酸味は、夏バテや病中・病後の食欲減退の予防と改善に高い効果を発揮すると言われています。
カラダが衰弱している夏バテや病氣の際、多くの栄養をとることが重要ですが、実際には食欲が出ないことも多いと思います。
しかし、梅干しの酸味には食欲を増進させる効果があるため、食欲が出ない時でも食事量を増やして豊富な栄養を摂取することが可能になります。
「植物性乳酸菌」が善玉菌の餌になる
あまり知られていない事実かもしれませんが、梅干しは植物性乳酸菌の宝庫です。
植物性乳酸菌は、乳酸菌が生きたまま大腸に届き、良好な腸内環境を保つ善玉菌のエサとなるため、腸内細菌叢のバランスが良好になると言われています。
そのため、梅干しを食べることで腸内環境の改善につながる効果があるとされています。
また、カテキン酸という悪玉菌を抑制する働きのあるアミノ酸も梅干しには含まれており、乳酸菌とカテキン酸の相乗効果によってより高い整腸効果が期待できます。
三大機能性トリテルペンの一つ「オレアノール酸」が血糖値スパイクを抑止する
梅干しには、血糖値スパイクを抑止する働きがあると言われています。
その秘密は、梅干しに含まれる「オレアノール酸」にあると言われています。
オレアノール酸とは、植物が持つ天然のトリテルペンのことです。このトリテルペンとは、ポリフェノールの一種で、抗ガン作用や抗炎症作用があると言われています。
また、腸の糖の吸収を抑え、血糖値の上昇を緩やかにする効果があると言われています。
精白された白米やパンを食べると、急激に血糖値が上がりますが、急激に血糖値が上がることは、有害な活性酸素を大量発生に繋がります。
活性酸素はわたしたちの大切な細胞を錆びつかせてしまう性質があります。
オレアノール酸を含まれている梅干しを食べることで、血糖値を緩やかにし、活性酸素の発生を少なくすることで、自然治癒力を高める効果があると言われています。
カルシウムの吸収率が上がる
梅干しに含まれるクエン酸は、カルシウムの吸収率を高める作用を持っています。
カルシウムは体内での吸収率が低く、一般的な成人の場合は摂取した量の20~30%ほどしか小腸で吸収されないと言われています。
カルシウムを摂取しているつもりでも潜在的なカルシウム不足に陥っている人は多いそうです。
そのような問題を解消するためには、カルシウムの吸収を助けるクエン酸を多く含んだ梅干しがおすすめです。
骨の成長過程にある子どもや骨粗しょう症の発症率が高い女性は特にカルシウムが必要であるため、梅干しを積極的に食べるのがお勧めです。
梅リグナンによるインフルエンザや胃がんの予防
梅干しに含まれる梅リグナンの一種である「エポキシリオニレシノール」は、インフルエンザウイルスの増殖を抑制してくれる効果があります。
また、梅リグナンの一種である「シリンガレシノール」は、胃がんの主要な原因のひとつであるヘリコバクター・ピロリ菌の運動能力を抑制し、死滅させる働きがあります。
脂肪がつきにくくなる
梅の香りの成分に含まれる「バニリン」が脂肪細胞の肥大や増加を防ぐと言われています。
梅干しを温めるとバニリンの効果も上がると言われています。
「カテキン酸」の整腸作用
梅干しには「カテキン酸」という殺菌作用のある栄養素が含まれています。このカテキン酸が腸内の悪玉菌をやっけてくれる働きがあります。
このカテキン酸は、昔からコレラなどの伝染病予防に役立ってきたそうです。 腹痛や下痢には、少量をなめるだけで効果があるといわれており、 腸の働きを整えるので便秘にも有効です。
まとめ
ここまで、梅干しの歴史や健康に対する効果について解説してきました。
わたしたちが生まれる食べてきた梅干しは非常に栄養価の高く、スーパーフードと言える食品だと思います。
ただし、市販で売られている梅干しは、上記で記載した効果は得られにくいと思います。
その理由は、市販の梅干しは、酒精、アミノ酸などの調味料、ステビアやスクラロースなどの甘味料、着色料などの食品添加物が大量に含まれているからです。
梅干しでおススメなのは、昔ながらの製法で作られたものです。
日々の生活の中で少し疲れを感じたときは、積極的に昔ながらの製法で作られた梅干しを食事に取り入れることをお勧めします。