音の癒し効果

2022-02-17音の癒し効果

音楽が及ぼすお酒の味の変化

お水や旦那さんが飲むお酒の傍で、クリスタルボウルを鳴らすと、味がまろやかに美味しくなるということが何度かありました。
音色というより、クリスタルボウルの振動が関わっているのだろうなぁと漠然と考えていました。

クリスタルボウルではありませんが、”音楽を聴かせると本当に味が変わること”を分子レベルで証明した研究を知ることができたので、ご紹介します。

 

音楽を振動に変換する「ボディソニック」

音とは空氣の振動です。

 

振動は物理的な現象であるため、食品に影響を与えることは可能だと考え、小松明氏は「音楽の振動がワインの成熟に影響を与えることがあるのではないか?」と考えました。

 

しかし、ライブハウスやクラブのような空間で大音量で音楽を聴く場合に、低音を腹で感じることはあっても、通常の空間で音楽を聴く場合には振動は感じられません。

 

そこで、小松氏は「ボディソニック」(トランデューサ)という装置を開発し、製品化しました。

スピーカーで音楽を聴かせたものとトランスデューサで音楽振動を付与したものとのイラスト「音楽振動の酒類の利用」から引用

 

「ボディソニック」は壁や天井など振動できる場所に取り付けて使用するもので、音楽の電氣信号を機械的な振動に変換して壁や天井全体で振動つきで音楽を再生することができる装置です。

 

このボディソニックを、ワインの樽に取り付けて音楽を再生して振動を与えながら熟成させれば、振動の影響でワインの味が変わる可能性があるということで、実験が行われました。

 

分子や酵母への影響が味を変えた!?

山梨県工業技術センターのワインセンターにて、200リットルのワイン樽にボディソニックを取り付けて音楽を聴かせるものと、何も取り付けないものを用意し、12日間の醸造を行う実験が行われました。

 

この時聴かせた音楽は、藤原 俊男氏が作曲したワイン醸造用音楽である「ワインの子守唄」という曲です。この曲を30分間、聴かせました。

 

その結果、主に3つの効果があることがわかりました。

 

(1)水分子の状態が変化する

水分子(H2O)は通常、5つ以上の分子が結びついた状態で存在していることが多いそうです。

 

 

ボディソニックありなしの2つの条件で醸造したワインについて、NMRという装置を用いて水分子の状態を調べたところ、ボディソニックを取り付けた場合のほうが、水分子が小さくなっていることがわかりました。

 

水分子の塊の状態が味に影響を与えることが知られていますので、水分子のサイズの変化は味に影響を与えることが十分に考えられます。

 

(2)酵母がより活発になる

ワインの発酵を進める酵母菌の働きが活発になり、発酵がより早く進んだそうです。

 

 

この実験では1日置きにワインの温度と糖度が測定されました。その結果、ボディソニックを取り付けた場合の方が5日後の糖度が低く、温度が高い傾向にありました。また、発酵にかかる時間も2日間短縮されました。

 

糖度の低さは酵母が糖からアルコールを生成する発酵の反応がより進んでいること、温度の高さは酵母の活動が活発であることを示していると言えます。

 

水分子が小さくなることによって水分子間の空氣が減ることが、酵母の活発さにも影響したものだと考えられています。

 

 

(3)分子レベルで熟成状態に近づく

ワイン中の水分子とアルコール分子の状態が熟成の状態に近づいたそうです。

 

熟成前のお酒は、水分子とアルコール分子がばらばらで存在していて、分子のサイズも大きいといいます。

 

しかし、振動を与えることで水分子やアルコール分子の塊が小さくなるほか、アルコール分子を水分子が包み込んだような状態となります。

『新種と熟成種の分子構造図』「音楽振動の酒類の利用」から引用

 

これは熟成後の状態に類似しており、アルコール分子が水分子に包まれることで、アルコールのツンとした臭いが軽減され、まろやかな味わいにつながります。

 

このように、音楽を振動に変換するという条件で音楽を聴かせた場合は、ワインの味が変化することがありうるようです。

 

最後に

音の振動がワインの発酵に良い影響があることが実験で示されました。

 

このことは、日本酒、醤油、味噌など別の発酵食品にも応用できる可能性があると思います。

 

クリスタルボウルの音色と振動を聴かせながら、日本酒や味噌づくりをしたら、とてもすごいものができそうだと思いました。

 

Harmoniaでは、あなたの街へクリスタルボウルの出張演奏、コラボ演奏、リクエスト演奏を承っております。

 

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参考論文👇

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/86/10/86_10_745/_pdf